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  • 執筆者の写真院長

推薦図書

大学の購買で医学部長推薦図書コーナーの本を片っ端から買って、診療の合間に少しずつ読み進めている。

「困ってるひと」大野更紗著

自己免疫疾患の一種で皮膚筋炎(膠原病)および筋膜炎脂肪織炎症候群を発症した著者が闘病生活の全容をユーモラスに語る内容は、闘病を闘病らしく書き進めるアプローチではなく、本編終盤まで笑いに特化した構成。中盤で闘病の中に一筋の光が見えた瞬間に涙がこぼれた。

病名確定まで一年以上、多様な精密検査や生検を行ってもなお、適切な治療法が見つからない、宙ぶらりんのまま時間だけが過ぎていく。

高熱の日々が続き一向に下がらない。全身の関節が痛い。苦しい。可動域も限りなくゼロになって、それはブリキのおもちゃのよう。著者曰く「まるで365日、インフルエンザに罹患している状態」だという。近所のクリニックから大学病院へ通うもなかなか診断がつかない。藁をもすがる思いで都内の大学病院へ行き。なんとか検査入院を受け入れてくれて、幾多の壮絶な検査を経て、病名が確定。

難病指定「皮膚筋炎」と「筋膜炎脂肪織炎症候群」の併発と診断された。だがそれは、単なる序章に過ぎなかった、、、



四条のスタバで読了した。


文脈がユーモラスに語られるので、読んでいるときは不謹慎ながらクスッと笑ってしまう。

でも時間が経つにつれて、その凄まじさが一気に襲ってきて、こちらも怖くなる。

病気との闘いは本当につらい。



自分の成功体験(完治した)を他人に押し付けるのはあまりにも危険。

自分が治ったからといって、その方法を患者さんに用いることはあまりにも単純で粗雑な考え方。時にわたしも一緒に悩み、手を施す瞬間、施した後までクリニカルリーズニングを立てて、道筋を広げていきたい。



つづく

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