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  • 執筆者の写真院長

現実

島根県浜田市弥栄町でのフィールドワークから京都へ帰ってきた。中一日おいて、京都と滋賀で鍼灸治療学の勉強会を行った。

夏前から、ちいけん(島根大学医学部地域医療研究会)メンバーは部会を開き、合宿に備えてきた。私は、東京出張などで、なかなか部会へ参加出来なかった...。

フィールドワークの内容は、学生発表や診療所での実習、地域住民への家庭訪問、看護師さんへのインタビュー、特別養護老人ホーム施設長への聞き取り、小学校教頭先生へのインタビュー、消防所巡回、地域住民交流会など、濃密なスケジュールが組まれていた。

毎朝・昼・夜と打ち合わせがあり、意思疎通を図って取り組んだ。

今年のテーマは、「防災」。

地域が災害に備え、どのような予防が出来るのか、実際に対策を立案できるのか、机上の空論ではない、実地活動を通して見えてくる問題点にフォーカスした。

これまで地域が育んできた風土、気質、親和性を理解するには極めて短すぎる時間であるのは、否めない。しかし、地域に頭を突っ込まないと絶対に知れないものがある。求めるべき答えが分からないときには、より事実に近づくために、その現場に行き体感することを躊躇ってはいけない。

看護師からは、「あなたがこうして地域のお年寄りと話がしたいように、お年寄りの方々も実はあなた方のような、若い人たちと話がしたい。」

施設長からは、「三年掛かった。こちらが思う親切は必ずしも直ぐに受け入れてもらえない。」「手に掛けるのは比較的誰しもできる。しかし、見守ることは大変に難しい。」高齢者を見守る体制は、その家族間レベルによっても変わってくる。また「家族がいるから大丈夫。この考えは、どうなのだろうか?家族がいるという議論はしない方向。」個人を見守ることを主に置く。住民ひとりひとりの聞き取りを拾い上げて、地域を知った。

診療所実習では、患者さんの受付から同行し、待合室で外来アンケート聴取、診察室、会計、薬局、ご家族のお迎えまでの一連を付いて回った。

人を知る時間は、心地よい緊張が支配し、言葉を交わして打ち解け出す瞬間に喜びを覚える。もう会わないかも知れない。ご縁あればまた会える。綯い交ぜの感覚が儚さとなる。


今回の地域医療実習で学んだことは、知ってしまった現実に目を背けることができなくなった。これに尽きる。それならば、再訪する必要がある。自分にとっての幸せとは何か。それを問うことこそが前向きな悩み方だ。また患者さんの身体状況に対する判断については、患者さんや家族へのインタビューから得られた主観的情報と自身の手で調べたフィジカルイグザム(視診、触診、聴診、打診)の結果で統合判断される過程を学び取った。


課題があるから、学び続けられる。



つづく

 




読むことは人を豊かにし、

話すことは人を機敏にし、

書くことは人を確かにする。

 

フランシス・ベーコン

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