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執筆者の写真院長

繊細ピエロ

 いつもの歯ブラシを無くしてしまい、どこかに忘れたとか無くしたとき用の歯ブラシをバッグから出して歯を磨いたのだが、いつものと微妙に違い(毛質・毛量・グリップ)、初動で奥の歯茎をえぐってしまった。その部分は、今確実に成長しており、予想通り口内炎。ごめんね、俺の奥歯茎。今度から気を付けるからどうか怒りを沈めて。痛みを受け止めるから。


 ある日、稽古場に俳優 渡辺謙さんが遊びにきてくれた。遊びにきたというと、僕との関係性を想像させてしまう。先に言っておくが、それまで当然ながら面識はなかった。休憩中、皆に囲まれて談笑する"本物"をチラ見しつつ、自分の数少ないセリフを反芻していた。それから、数日間、謙さんは稽古場に通い詰め、僕らの芝居を観てくださった。若手が少ないとはいえ、なかなかの大所帯。制作陣営も大変、その上米国から一旦帰国して、薄暗く埃っぽい稽古場に神々しいスター渡辺謙。主役揃いすぎ。粗相のないように、陣営の動きがガラリと変わり、徐々にカンパニーの士気も高まっていった。そして、本番。

相変わらず、謙さんは演出家や先輩と軽快なトークで場を盛り上げてくれる。その頃には、若手にもアドバイスをしてくださり、僕も何度か演技プランを提案してもらった。本番も折り返しを過ぎ、何名かで食事会が開かれた。そこになぜか僕もエントリーされていた。(内情は、出来が悪くて先輩にお前も来いと、強制されたのだが)指定されたお店についたら、謙さんが一人座っていた。小料理屋の店主と軽快なトークで談笑中。

ぼくを見つけて「おっ。お疲れさん」と一言。恐縮しっぱなしの僕に「新潟出なんだって」と。末端の僕の出身地まで知っていて驚いた。どのぐらい会話を交わしたのか、正直朧げであるが、自分のことをどう思う的な話を振られ、こう答えた。

「繊細系ピエロです」真っ当な回答にはほど遠く。会話に微妙な時間が生じた。しかし、謙さんはその時間を目一杯使い、「ふーん、吉田は日本人っぽいじゃん」と、一言。

その直後、舞台監督や演出家、女優さん、先輩役者さんが到着し、僕は自然と末席へ移動した。

食事会、皆が集合してからは特に芝居の話は出ず、謙さんの海外での話を中心に、皆が夢や希望を語り合う時間となりお開きとなった。以降は、挨拶程度になってしまったが、本番前毎回、僕の背中やヒップをパコーンと叩き、舞台上へ送り出してくれた謙さんを忘れない。


 さて、前置きにスターを登場させてしまった。今日の記事は大作の予兆を期待させてしまいそうだが、この時点で全体像を図ると、もうすでに沸点は超えている。

 昨日、友人との会話で、距離感を見誤ってしまったが故の失敗談を語ってくれた。他人との距離感の図り方って結構難しい。

真理は藤坂鹿さんが1ヶ月前に「関心を装った支配について」という記事を書いておられるので、読み通し願う。↓↓↓


繊細で絶妙な言葉の配置に真理と共感を得た。


この「関心を装った支配」は、自分にもよく訪れる。

優しさを醸し出し、敬いを着飾り、尊重と見せかけた同調。そしていつしか同調を越えていく凌駕。しかし、バレる。こえーよ。おれ、繊細ピエロ。すぐ分かるの。ごめん。


この半年、関係性の構築、新たな出会いに的を絞りコミニケーションを取りにいったが居心地も良くなく、疲弊し止めた。自分のキャラクターには抗えない。もし成長が望めたら、新しい見地を手に取る。それ相応に。とはいえ、好きなことをただ耕し固執し執着すると狭くなる。自分がどう感じるか。感情が動いたら、確かめてみる。シンプル。自分の成長に期待するお年頃なのか、色々と吸収しようと努めた。結果は、、、急ぎたいところだが、少し機を待つ。



追記:藤坂さんの「痛みと傷」の不思議 fromアパートメントは、非常に考えさせられた。

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